神川紀行 その2
 真田町で活躍する人達(第4回)
 菅平ダム
水を治めることは、国を治めることなのです
菅平高原へ通ずる道を車で登っていくと、右手に大きなダム湖が見えます。
春の桜、秋の紅葉が美しく湖面に映え、冬は沢山の渡り鳥が羽を休めています。
とりわけ氷結した氷に足をとじこめられた鳥たちを、朝早く、鎌で刈り取りに行く“鴨狩り”はここの名物なのです!
(イヤ、これは悪い冗談です!)

真田町は北に、 名峰根子岳・四阿山をいただき、周囲の山から流れ込む清水により、古代に湿原から成立した菅平高原があります。

菅平湿原を通る菅平川は、オボコ清水川と合流して、神川となります。
これに唐沢、大明神沢が流れ込み、大洞川も合流します。この厳しく険しい合流地点の渓谷に、菅平ダムがあります。

ダムの下流は、渋沢川をはじめとした沢山の渓流が流れ込み、豊富な水量で千曲川に達します。

 
 ダム諸元(クリック拡大)


    上空よりダム全景

神川は文字どおり、聖なる四阿山から流れ出た神の川であり、真田町の自然の動脈とも言える重要な河川で、真田昌幸・幸村父子が徳川の大軍を悩ませた(神川の戦い)軍事上の要衝でもあります。

この上田・小県地方は、日本有数の小雨量地域で、ダム近辺の30年間の実測値でも、年間降水量が800mm程度でしかありません。
そこで、豊富な雪解け水や、梅雨時の水を貯え、夏の渇水期に備えたい、との強い要望から、農業・上水道・発電の3つの目的をもって、昭和43年10月神川総合開発事業として菅平ダムが完成しました。

以来、上田市では夏の断水もなく、この地域の干ばつも発生していません。

    桜花咲くダムの春

このように地元に無くてはならない利益を提供しているダムも、普段なかなか人目にふれる機会が少ないので、働きを簡単にご紹介します。


1. 農業用水
ダムにより安定供給された水は、発電のあと神川にもどされます。
神川には14もの取水堰があり、ここからの農業用水は、真田町、上田市、東部町の合計2000ha をうるおしています。

2. 上水道
真田町石舟地区、および上田市染谷台にある上田市上水道の浄水場に、1日あたり3万トンを供給、12万余人もの市民に飲み水を供給しています。

3. 発電
菅平ダムより、最大2.4トン/秒の水を取水し、4キロ余りの導水路トンネルを経て、276mの落差を利用して、最大出力 5400KWの発電を行い、中部電力に電力を供給しています。


    給水地域(クリック拡大)
この発電所はダム管理所からのリモコンによってコントロールされています。


ダムコントロール室



    発電所諸元(クリック拡大)

ダムの水位は年間を通じたコントロールがなされ、3月末と 9月末が最も水位が低く、5月10日と12月1日がもっとも水位が高くなるようにして、水の安定供給をしています。

取材日の3月末はダム湖の底を見られる特別な日でした。

 
 平成10年度 水位曲線図(クリック拡大)

ダムの管理運営は菅平ダム発電管理所にて、今井俊男所長以下わずか4名の技師の方々で行われています。

この寒風の吹く中、凍りつくような水の面で、ダムの整備に余念のない技師の方々には頭がさがります。


    低水位期のダム湖底




長野県企業局、北信発電管理事務所、
菅平ダム発電管理所
386−22 真田町大字長字十の原
電話 0268−74−2177


    お忙しい中これらの説明をしてくださった今井俊男所長は、この3月に定年退職されました。
    長い間ありがとうございました。